始めようDTM 第9回MIDIデータを聞いてみよう(4) 九曜 弘次郎 Homepage=http://member.nifty.ne.jp/KUYO/ e-mail:kojiro.kuyo@nifty.ne.jp  みなさんこんにちは。DTM講座第9回目です。  今回はMIDIデータを聞くうえで、私の使用しているソフトのなかから、あると 便利なユーティリティソフトをご紹介したいと思います。なお今回ご紹介するソ フトは、SMFナイフを除いては、PC9800シリーズのDOS上で動作するものです。 ■ MIDIファイラー ■  たくさんのMIDIデータをダウンロードしてくると、どのファイルがどの曲のフ ァイルか分かりにくくなってきます。 またDOS用のMIDIプレイヤーの多くはコマ ンドラインで演奏ファイルを直接入力するようになっています。これはファイル 名が分かっていれば非常に効率がいいのですが、ファイル名を覚えていなければ ならないという欠点もあります。このようなときに役に立つのがMIDIファイラー です。  もちろんHFなどの普通のファイラーを利用しても良いのですが、MIDIファイラ ーはMIDIファイル中に書かれている曲名を参照してファイル名と一緒に表示して くれますので、どのファイルがどの曲のファイルだったか分からなくなるといっ た欠点も補ってくれます。  このてのソフトにもいろいろなものがあるのですが、私がよく利用しているの は「MIDS」というものです。以下特徴をドキュメントから引用します。 ------------------------------------------------------------------------  〇 DOC ファイルや、ダウンロード時の補足説明ファイル(注) からも曲名を切り 出して表示できます。  〇 多くの場合、作品には.DOC や.WRD、.LYR など、MIDI ファイル以外のファイル がついています。これら関連ファイルをひとまとめにして表示し、簡単に閲覧す る事ができます。WRD 内で呼び出している MAG ファイルなども検出します。  〇 (MID, STD, MFF, RCP, R36, G18, G36, SNG, MM2, MM3)に対応。    他にも、対応プレーヤーさえあれば、どんなデータ形式でも扱えます。  〇 LZHファイル中のデータを自動で解凍し、演奏したり閲覧する事ができます。 LZHファイルの連続演奏も可能です。  〇 簡単なファイル操作機能を持っています。  〇 データ読込みが比較的高速です。  〇 操作がわりと単純だと思います。^^; (注) ダウンロード時の補足説明ファイル Nifty-Serve では、ファイルをダウンロードする直前にさまざまな補足説明が表示 されます。特に FMIDI の場合、 この補足説明にはほぼ決まったフォーマットで曲 名が書かれているので、曲名取得にはとても有効です。 本来は通信ログの一部として記録されますが、通信ソフトによっては (AIR CRAFT 等) この部分を切り出して、ダウンロードファイルといっしょに保管してくれます。 ------------------------------------------------------------------------  いかがでしょうか。なかなか強力なファイル抽出機能があります。  このソフトのダウンロード先は以下のとおりです。 ------------------------------------------------------------------------ Nifty FMIDITOL LIB2 866 GEG04250 96/09/01 9490 823 B "MIDS" ファイルセレクタ Ver3.00 -> 3.01差分 853 GEG04250 96/07/12 120865 1289 B "MIDS" ちょっと新しいファイルセレクタ Ver3.00 ------------------------------------------------------------------------  インストール方法について説明します。 まずMIDS300.LZH及びMIDS301P.LZHを を適当なディレクトリに解凍します。つぎにMIDSを3.00から3.01にアップデート します。MIDS300.LZH内のMIDS.COM,MIDSM.EXEと、MIDS301P.LZH内の MIDS301P.COMを同じディレクトリにおき、MIDS301P.COMを実行します。これでバ ージョンアップは完了です。  MIDSの起動に必要なファイルはMIDS.COM,MIDS.CFG,MIDSM.EXEですので、 この 三つは必ず同じディレクトリに入れるようにしてください。  また、環境変数COMSPECでCOMMAND.COMのある場所を、 TMPに作業ディレクトリ を設定しておく必要があります。例えば ------------------------------------------------------------------------ SET COMSPEC=A:\COMMAND.COM SET TMP=B:\ ------------------------------------------------------------------------ というような感じで、自分の環境に合わせて設定します。AUTOEXEC.BATなどに記 述しておくと良いかと思います。  つぎにMIDS.CFGというファイルを、自分の環境に合わせて書き換えます。この ファイルは使用するプレイヤーや、関連ファイルなどを閲覧するためのペイジャ ーなどを設定するものです。テキストファイルですので、DMエディター等を使用 して書き換えてください。全部の項目を書き換える必要はありませんが、デフォ ルトで使用するプレイヤーぐらいは確認しておいたほうがいいかと思います。  MIDS.CFG中「;」で始まる行がありますが、この行はコメント行です。 削除し ても問題はありません。 また「@」で始まる行は実際に設定を行っている行です ので削除したりしないでください。たいていMIDS.CFGのコメントを読んでいただ ければ、設定内容はおわかりになると思います。  書き換えが終わりましたら起動してみましょう。コマンドラインから ------------------------------------------------------------------------ MIDS[リターン] ------------------------------------------------------------------------  と入力します。起動しましたら画面にはファイル名が表示されています。上下 カーソルキーで移動できます。…が、音声がなりません!!実はカーソルのある 位置がリバース反転文字になっているのです。そこでVDMの機能で、GRPH+F5を押 し、リバース読みをONにします。これでカーソルキーを押すと、ちゃんと読み上 げられるはずです。  そこで、以下のような記述をしたバッチファイルを作っておかれると良いでし ょう。 ------------------------------------------------------------------------ @ECHO OFF VDCTRL SW5ON MIDS VDCTRL SW5OFF ------------------------------------------------------------------------  これでMIDSの起動と同時にVDMのリバース読みがONになり、 MIDSを終了させる とVDMのリバース読みがOFFになります。  さて、MIDSを起動した直後の画面は、HFなどのファイラーと同じように、カー ソルキーでファイルやディレクトリを選択できます。選択の確定はリターンキー です。  この機能を使って、MIDIファイルのあるディレクトリに移動し、MIDIファイル またはMIDIファイルが格納されているLZHファイルの上にカーソルをおいてみて ください。いかがでしょう。ファイル名と一緒に曲名も読み上げられたのではな いでしょうか?なおファイルによっては、MIDSが正しく曲名を抽出できず、曲名 が正しく表示されない場合があります。  ともかくカーソルのある位置のファイルを演奏してみましょう。MIDIファイル の上にカーソルをおきましたらリターンキーを押します。すると以下のようなメ ニューが表示されます。 ------------------------------------------------------------------------ P)演奏開始 V)関連ファイル閲覧 C)設定 esc)戻る ------------------------------------------------------------------------  項目は上下カーソルキーで選択するか、先頭の文字を入力することで選択しま す。デフォルトでは「P)演奏開始」になっていますので、そのままリターンキー を押すと、MIDS.CFGで設定したMIDIプレイヤーが起動し演奏が始まります。 LZH ファイルの場合は、書庫内のファイルを作業ディレクトリに解凍した後、MIDIプ レイヤーが起動し演奏が始まります。なお解凍されたファイルは、演奏終了後自 動的に削除されます。  また、演奏前にメニューを表示せず直接演奏を始めたい場合はSHIFT+リターン キーを押します。なおリターンキー及びSHIFT+リターンキーの機能は、 CFGの設 定により逆にすることもできます。  ところで、関連ファイル(DOCファイル等)を見るには、 演奏ファイルの上に カーソルをおきリターンキーを押します。そこで「V)関連ファイル閲覧」を上下 カーソルキーもしくはVキーを押して選択しリターンキーを押します。 関連ファ イルが複数個ある場合は一覧が出ますので、上下カーソルキーで選択しリターン キーを押します。するとCFGファイル中で設定したページャーが開き、 ファイル を読むことができます。 もしCFGファイルに設定していない拡張子のファイルだ った場合は、MIDSに内蔵のページャーが起動します。私の場合はこのページャー のところにDMエディターを設定してあります。そうすることで音声での連続読み や、聞きたいところから読んだりといったことが可能になります。 --------------------------- MIDS.CFGの設定例 --------------------------- @viewc_01 =.MAG|TEAM.EXE -k @viewc_02 =.PHO|PHOD.EXE -k -t -c @viewc_03 =.DOC|DM.EXE @viewc_04 =.TXT|DM.EXE @viewc_05 =.HED|DM.EXE @viewc_06 =.ホソク|DM.EXE @viewc_07 = | @viewc_08 = | @viewc_09 = | @viewc_10 = | ------------------------------------------------------------------------  上の例では、 拡張子が.DOC,.TXT,.HED,.ホソクのファイルをDMエディタで開くよ うにしてあります。  さて、複数のMIDIファイルを連続して演奏することもできます。演奏したいフ ァイルにカーソルを会わせたらスペースキーを押します。カーソルは一つ下に移 動しますので、一度上カーソルキーを押して戻ってみてください。曲名の先頭に *がついています。これで選択状態になりました。 解除するにはもう一度スペー スキーを押します。このようにして選択/非選択を切り換えられます。  では演奏したい曲ファイルを何曲か選択状態にしてください。選択が終わりま したらさきほどの演奏操作をします。すると選択した曲が次々に連続演奏されま す。  さて、同じディレクトリにたくさんのMIDIファイルがあると、カーソルキーで 一つ一つ探すのはとても大変です。そんなときは検索機能が便利です。MIDSのメ イン画面でF9キーを押します。ここで何かキーワードを入力するわけですが、こ こでのキーワードはファイル名や曲名も検索対照になります。ですから 「ABC」 で検索した場合 ABC.MID SONG.ABC ABCの歌 等は全てヒットします。 また全角/半角、 ひらがな/カタカナ等は区別されませ ん。  では何かキーワードを入力してみましょう。 そうですね〜 「アクセスレビュ ー」と入れてみます。入力し終わりましたらリターンキーを押します。もし現在 いるディレクトリに「アクセスレビュー」の曲名が付いたファイルがあれば、そ こにカーソルがジャンプします。もし複数個「アクセスレビュー」の曲のファイ ルがある場合は、最初に見つかったものにカーソルがジャンプしますので、探し ているのと違うファイルの場合はCTRL+上カーソルキー、CTRL+下カーソルキーで 別のヒットしたものにカーソルを会わせることができます。  ところで、検索をかけてヒットしたファイルはリバース反転表示になります。 そのため検索をしたあと、カーソルのあるファイルが読み上げられなかったり、 関係のないところで検索にヒットしたファイルの情報が読み上げられたりするこ とがあります。目的のファイルが見つかりましたら、F9キーを一度押し、そのま まなにも文字を入力せずにリターンキーを押して検索を解除して置かれた方がい いかもしれません。  以上、私が主に利用している機能を中心に書いてみましたが、そのほかにもフ ァイル操作機能や、一度ディレクトリ内のファイルを取得し、その情報をディス クに保存しておくことで、次回起動時からはファイルから曲名などの情報取得の 手間を省く機能などもあります。詳しくはMIDS.DOCをご覧ください。  では、つぎのソフトの紹介です。 ======================================================================== ■ MADP ■  つぎの紹介するソフトはMADPと言うものです。 LHAで圧縮されたMIDIファイル を直接演奏することができます。 MIDSはファイルをカーソルで選択してLZH内の ファイルを演奏することができましたが、こちらはファイル名を直接コマンドラ インで入力して演奏します。あらかじめファイル名が分かっている場合や、他の ファイラーと組み合わせて利用すると便利です。  対応しているファイルの形式は、RCP R36 MCP MID MFF STD SNG MM2のMIDIフ ァイルです。  所在は以下のところです。 ------------------------------------------------------------------------ Nifty FMIDITOL LIB2 746 HQA01307 95/09/06 3424 316 B MADP162U.LZH Ver1.6Xからのバグフィクスです 745 HQA01307 95/09/06 38136 689 B MADP161.LZH 圧縮したMIDIFILEを手軽に聞く ------------------------------------------------------------------------  ダウンロードしたMADP161.LZHとMADP162U.LZHを解凍します。 またこれもバー ジョンアップ作業が必要です。 こちらのアップデートにはBUPDATE.EXEを使用し ます。  MADP161.LZH内のMADP.EXEと、 MADP162U.LZH内のMADP.BDFを同じディレクトリ におき、コマンドラインから以下のようにタイプします。 ------------------------------------------------------------------------ BUPDATE MADP[リターン] ------------------------------------------------------------------------  これで新しいファイルが作成されます。  では使い方です。実行ファイルMADP.EXEをパスの通ったディレクトリにおいて おきます。またLHAやMIDIプレイヤーにもパスを通しておき、 起動できる状態に しておいてください。  使い方はコマンドラインからパラメータとしてMIDIファイルが圧縮されている LZHファイルを指定するだけです。自動的にLHAが起動し、カレントディレクトリ もしくは作業ディレクトリに書庫内のファイルが解凍され、MIDIプレイヤーに渡 され演奏が始まります。演奏終了後、解凍されたファイルは削除されます。  つぎに演奏に使用されるMIDIプレイヤーですが、 デフォルトでは拡張子が MID/MFF/STD/RCP/R36のファイルはDECOPが、MCP/SNG/MM2の場合はMIMPIが゛起動 されます。 ただしWRD/PHO/MAG/EXE/BAT/COMも対照となっており、圧縮ファイル 中にWRDのファイルがあった場合はMIMPIが起動するようになっています。ただし これは環境変数により変更が可能です。例えば拡張子がMIDであってもMIMPIを起 動したい場合、環境変数ーMAD_MID」にMIMPIを設定すればいいわけです。以下の ようにします。 ------------------------------------------------------------------------ SET MAD_MID=MIMPIV4.EXE ------------------------------------------------------------------------  他の環境変数についても紹介しておきます。 ------------------------------------------------------------------------ MAD_RCP=[拡張子がRCPのときに立ち上げるTOOL名] MAD_OTH=[拡張子がRCP,MID以外のときに立ち上げるTOOL名] MAD_ARC=[LZH書庫の解凍に使用するTOOL名] ------------------------------------------------------------------------  上記のようにカスタマイズできますので、環境や好みに合わせて設定されると 良いかと思います。  ではつぎのツールの紹介に移ります。 ======================================================================== ■MIDI音源相互補正ユーティリティSMFナイフ ■  MIDI音源にはさまざまな機種があります。これらの違った機種でもあるていど の互換性を保てるようにということでGM、GS、XGといった規格が儲けられたわけ ですが、GSとXGでは互換性がなかったり、同じ規格の音源であっても、機能の違 いから完全な互換性がなかったりといった問題があります。  そこでご紹介するのが「SMFナイフ」というものです。これは例えばAという音 源で作成されたデータを、 MIDIファイル自体を書き換えることでBという音源で も聞けるようにしてしまおうというものです。実際の書き換えはコンフィグファ イルをもとに行われます。 このコンフィグファイルはテキストファイルですの で、既存のファイルを書き換えることでさらに互換性を高めたり、新たに作成す ることでいろいろな音源に対応させることが可能です。  このソフトにはWindows用のものもありますが、 私自身使用したことがありま せんので、 今回はDOS版のものを紹介します。DOS版のものはDOS汎用ですので、 DOSが動作するパソコンであれば機種に関係なく動作すると思います。  変換に利用できるMIDIファイルの形式はSMFのみです。  このソフトのダウンロード先は以下のところです。 ------------------------------------------------------------------------ Nifty FMIDITOL LIB8 117 VEN10211 98/05/11 36914 239 B SMFK215 .LZH SMFナイフ v2.15 /MS-DOS ------------------------------------------------------------------------  また各種主要なDTM音源用のコンフィグファイル集は ------------------------------------------------------------------------ FMIDITOL LIB 8 111 VEN10211 98/01/13 499290 377 B SMFナイフ 標準コンフィグファイル集(全) V2.10 ------------------------------------------------------------------------ にあります。  ダウンロードしたファイルを解凍します。  コンフィグファイルのアーカイブには、いろいろな音源用のものが集録されて います。もし自分の音源に対応したものがあれば、それを使ってみましょう。  例えばヤマハのMU80で作成されたデータ「TEST.MID」を、 ローランドのSC-88 用に変換するとします。 MU80からSC-88への変換用のコンフィグファイルは 「8088.CFG」です。ですから以下のようにタイプします。 ------------------------------------------------------------------------ SMFK TEST.MID 8088.CFG [リターン] ------------------------------------------------------------------------  暫くするとSC-88用に変換されたTEST.MIDが作成されます。 もとのTEST.MIDは TEST.MI_のように、拡張子がMI_にリネームされて残ります。  できあがったTEST.MIDをSC-88で再生してみてください。いかがですか???  たしかに音源によって音の作り方自体が違いますので「全く同じ」というわけ にはなかなか行かない部分もあります。しかしそのまま再生するよりはいいので はないでしょうか?  コンフィグファイルの作成や書き換えにはあるていどのMIDIに関する知識が必 要ですので、ここでは省略させていただきます。  と言うわけで、他にも便利なツールはたくさんありますが、私がよく使用する ものを簡単に紹介させていただきました。読者の方でもっと便利なツールをご存 じの方がいらっしゃいましたら、情報をお寄せください。  さて次回からは、いよいよMIDIデータの製作について書いていこうかと思って います。