始めようDTM第6回  MIDIデータを聞いてみよう(1) 九曜 弘次郎 Homepage=http://member.nifty.ne.jp/KUYO/ e-mail:kojiro.kuyo@nifty.ne.jp  みなさんこんにちは。始めようDTMの第6回目です。  さて今回の内容に入る前に、前回の内容に誤りがありました。「SMF (標準 MIDIファイル)には、フォーマット0と1の2種類の形式がある」と書きました が、 もう一つSMFには「フォーマット2」という形式がありました。この形式に 対応しているシーケンサーはほとんどなく、あまり使われない形式ですが、 SMF の規格の一つに含まれています。お詫びして訂正します。  さて今回は、いよいよ実際にMIDIデータを再生してみることにしましょう。ま ずはパソコンとMIDI音源を接続する必要があります。 第3回 (1999年1月 号) にも少し書きましたが、音源の接続方法にはパソコンのRS-232Cに直接接続 する方法と、 パソコンの拡張スロットにMIDIインターフェースボードを入れ、 MIDIケーブルを利用して接続する方法とがあります。  まずパソコンのRS-232C端子と音源を直接接続する方法ですが、 専用のケーブ ルを利用します。このケーブルはMIDI音源を扱っているお店で入手することがで きます。おおよそ3千円前後だと思います。ケーブルはできるだけお持ちのMIDI 音源と同一のメーカーのものを使用される方が、トラブルが少なくていいと思い ます。 またケーブル購入のさいには、PC98用とPC/AT互換機用のものを間違えて 購入しないように注意してください。  実際の接続の方法ですが、パソコンのRS-232C端子とMIDI音源の「TO HOST」ま たは「コンピュータ」と書かれた端子を繋ぎます。 音源側の端子は、 ちょうど PC98シリーズのキーボードを接続する端子と同じような形状になっています。  そして音源側の設定をする必要があります。音源には「TO HOSTセレクトスイ ッチ」と呼ばれる、4段階に切り替えできるスイッチがあると思います。これを PC98シリーズをお使いの方はPC1に、 PC/AT互換機をお使いの方はPC2に設定して ください。これはPC98シリーズとPC/AT互換機では、RS-232Cの速度が違うためで す。この設定が逆になっていたりしますと、音が鳴らないだけでなく、パソコン がハングアップしたりすることがありますので間違えないようにしてください。  つぎにS-MPU等のMIDIインターフェースボードを使用する場合です。 まずイン ターフェースボードは、 PC98用でしたらCバス、PC/AT互換機用でしたらISAバス に接続するものを選んでください。 最近ではUSB端子に接続するものも市販され ていますが、DOSからは使えません。Windowsでのみ利用される場合は、これでも いいでしょう。 またローランドのS-MPU IIをDOSから利用する場合は、付属のデ ィスクからイネーブラをインストールしないと認識しません。  音源との接続の方法は、MIDIケーブルを利用して接続します。これも音源を扱 っているお店で購入できます。いろいろな長さのものがありますが、必要以上に 長いケーブルは避けた方がよろしいかと思います。 理由については、 第2回 (1998年12月号)を参照してください。長さによって値段が違いますが、 おおよそ千円前後です。コネクタの形状は音源側、インターフェース側とも共通 ですので、 どちらをさしてもかまいませんが、INとOUTを間違えて接続しないよ うに注意してください。具体的には、インターフェース側のMIDI OUTと、音源側 のMIDI INを接続します。32パート以上の演奏に対応した音源と、S-MPUをお使 いの方は、MIDI IN OUTがA Bと二つあると思います。このような場合は、インタ ーフェース側のMIDI OUT Aと、音源側のMIDI IN Aを、 インターフェース側の MIDI OUT Bと、音源側のMIDI IN Bを接続してください。ケーブルはそれぞれ必 要になりますから、2本必要になります。とりあえずデータを聞かれるだけの場 合はこれでいいでしょう。あと音源側のMIDI OUTや、インターフェース側のMIDI INなどが余っていますが、MIDIキーボードなどを接続されるさいに使用したりし ます。  そして音源側の「TO HOST切替スイッチ」を、MIDIに合わせてください。  さて以上で接続完了です。あとはMIDIを再生するためのソフトウェアを用意す る必要があります。 DOS用、 Windows用、 DOS用でもPC98用途PC/AT互換機 (DOS/V) 用などいろいろあります。できるだけいろいろ紹介したいのですが、 私の知識の限界などもありますので、とりあえず一つのOSにつき一つずつぐらい はプレイヤーソフトを紹介したいと思います。  今回はDOS用のものを紹介し、次回にWindows用のものを紹介するというかたち にしたいと思います。  では早速、DOS用MIDIプレイヤーの紹介に入ります。 ■ DOS用MIDIプレイヤー ■  まずはDOS上からのMIDI再生です。いろいろなものがありますので、 選択に困 りますが、 今回はMIDIプレイヤーとしては定番の「MIMPI」をご紹介します。こ のソフトはたくさんのMIDIファイル形式に対応しているのが特徴です。前回いろ いろなファイル形式をご紹介しましたが、ほとんどの形式に対応しているため、 ファイル形式を気にすることなく再生することができます。また私の印象では、 演奏機能に信頼があると思います。といいますのは、時々プレイヤーによって、 データが正常なかたちで演奏されないことがまれにあるのですが、 MIMPIはその 点そういうことがありません。是非用意しておきたいプレイヤーの一つです。  MIMPIはPC98用と、DOS/V用があります。操作法は基本的に同じですので、まと めて紹介し、異なる点のみ補足します。  それではまず、MIMPIのダウンロードをしましょう。例によって Nifty/FMIDITOLに登録されています。(PC-VANやインターネット、他のネットな どにもあると思いますが、 所在が分かりませんのでNiftyでの所在のみ紹介しま す。) ------------------------------------------------------------------------ PC98用MIMPI NIFTY FMIDITOL/LIB 2 909 PXN04672 97/05/12 104028 5731 B MIMPI427.LZH/MIMPIV4 マルチ音源 Player DOS/V用MIMPI NIFTY FMIDITOL/LIB 5 296 SDI00744 96/02/04 80611 7127 B MIMPI Ver4.16 for DOS/V (Ver 1.01) ------------------------------------------------------------------------  ダウンロードされましたら、 LZHファイルを解凍します。 PC98の場合は 「MIMPIV4.EXE」 DOS/V用の場合は「MIMPIJ4.EXE」が出てきたと思います。これ が実行ファイルです。これをどこかパスの通ったディレクトリ、またはカレント ディレクトリにおいて実行します。今回は、PC98シリーズの方は 「A:\MIDI」、 PC/AT互換機の方は「C:\MIDI」に入れるものとして話を進めます。  さて、MIDIの再生には、当然再生するためのMIDIデータが必要になります。と にかくなにかデータを用意しなければなりません。今回本誌に、再生テスト用の MIDIデータ「ARCMSONG.LZH」を、 FSWディレクトリ内に入れていただきました。 とりあえずテストということで、これを使ってみましょう。  まず「ARCMSONG.LZH」を解凍します。このなかの「ARCMSONG.MID」が曲データ ファイルです。 また 「ARCMSONG.WRD」 というファイルがありますが、 これは MIMPI用の歌詞表示用のファイルです。MIMPIでは、曲データファイルと同じファ イル名で、拡張子が.WRDのファイルがあると、それを歌詞ファイルとして読み込 み、画面にそれを表示するようになっています。とりあえずこの二つのファイル が演奏に必要ですので、同じディレクトリにコピーしてください。ここでもPC98 シリーズの方は 「A:\MIDI」に、PC/AT互換機の方は「C:\MIDI」におくものとし ます。  さてそれではいよいよ演奏させてみましょう。まずはPC98シリーズの方は以下 のようにしてみてください。 ------------------------------------------------------------------------ A:[リターン] CD \MIDI[リターン] MIMPIV4 ARCMSONG.MID[リターン] ------------------------------------------------------------------------  つぎにPC/AT互換機の方です。 ------------------------------------------------------------------------ C:[ENTER] CD \MIDI[ENTER] MIMPIJ4 ARCMSONG.MID[ENTER] ------------------------------------------------------------------------  いかがでしょうか。ちゃんと演奏されましたでしょうか?MIDIインターフェー スをお使いの方は、 接続や設定に問題がなければ、 正しく演奏されたと思いま す。  しかしRS-232Cで接続されている方は正しく演奏されず、 突然パソコンのビー プ音から演奏が聞こえてきたりすることがあります。このようになった場合は、 MIMPI起動時にオプションを指定することで回避できます。PC98シリーズとPC/AT 互換機では、少しだけ違いますので分けて説明します。  まずPC98シリーズの方は、曲ファイル名のまえに「/I3」 を付けて起動してみ てください。 ------------------------------------------------------------------------ MIMPIV4 /I3 ARCMSONG.MID ------------------------------------------------------------------------  つぎにPC/AT互換機の方は「/I3n」を付けます。「n」には音源を接続している COMポートを1か2で指定します。例えばCOMポート1に音源を接続しているなら ------------------------------------------------------------------------ MIMPIJ4 /I31 ARCMSONG.MID ------------------------------------------------------------------------ となります。COM2なら ------------------------------------------------------------------------ MIMPIJ4 /I32 ARCMSONG.MID ------------------------------------------------------------------------ です。RS-232Cポートが一つしかないパソコンの場合は「/I31」 で問題ないと思 います。  どうでしょう。これで演奏されたのではないでしょうか。なおさきほどから演 奏ファイル名の拡張子「.MID」を付けて指定していますが、拡張子は省略しても かまいません。MIMPIが順番に探し出してくれます。  これで演奏できれば、あなたもMIDIの世界に突入です!!あとはパソコン通信 などからMIDIデータをダウンロードして聞いたりして楽しむことができるでしょ う。  ところで、いちいち起動時に「/I3」などを付けるのはめんどうです。 そこで 環境変数 「MIMPI-SW」に、普段利用するMIMPIのオプションを設定しておくこと で、いちいち起動ごとに指定する手間が省けます。例えばAOTOEXEC.BATなどに ------------------------------------------------------------------------ SET MIMPI_SW=/I3 ------------------------------------------------------------------------ などという行を追加しておくと良いでしょう。  今回ご紹介したMIMPIにはまだ他にもいろいろなオプションがありますので、 ドキュメントを参照して、便利な使い方を見つけてみてください。  ところで、私自身PC/AT互換機のDOS上では、あまりMIDI再生をしないため詳し くは分かりませんが、 PC98シリーズにはMIMPIの他にもプレイヤーソフトがあり ます。私がよく利用しているものをご紹介しておきたいと思います。  まずはDECOP。画面表示が綺麗なので、晴眼者には人気があります。 でも音声 環境ではあまりメリットないかも!!しかし再生は起動時にMIDIファイル名を指 定するだけですから簡単です。 私は使ったことがありませんが、 DOS/V版や Windows版もあります。 ドキュメントによると、演奏できるファイル形式は以下 のようになっています。 ------------------------------------------------------------------------  【対応 MIDI ファイルフォーマット】   ◇ 標準MIDIファイルフォーマット(Format0 & Format1)。拡張子は[MID],[MFF],[STD]。   ◇ レコンポーザ/98 v2.5のデータフォーマット。拡張子は[RCP]。\]^_`abcde   ◇ レコンポーザ/98 v2.5Fのデータフォーマット。拡張子は[R36]。\]^_`abcde   ◇ レコンポーザ/98 v2.5Gのデータフォーマット。拡張子は[G18/G36]。\]^_`abcde   ◇ レコンポーザ for Windows95のデータフォーマット。拡張子は[G36]。\]^_`abcde ◇ リットーのMIDI Worldのデータフォーマット。拡張子は[RMF]。   ◇ RIFF (Resource Interchange File Format) MIDI フォーマット。拡張子は[RMI]。 ------------------------------------------------------------------------  のソフトは以下のところにあります。 ------------------------------------------------------------------------ NIFTY/FMIDITOL/LIB 2 904 SDI00744 97/04/20 10608 1729 B DECOPLAY v6.1f : SMF/RCP Player (差分) 856 SDI00744 96/08/03 67697 3961 B DECOPLAY v6.1d : SMF/RCP Player ------------------------------------------------------------------------  つぎに「MRP」をご紹介します。 このプレイヤーは今までのとは少し変わって いて、メモリに常駐して演奏を行います。ですからMIDIで音楽を流しながら、文 章を書いたり通信したりといったことができます。演奏可能なファイル形式は、 SMF(.MID)、レコンポーザV2(RCP)形式です。 ------------------------------------------------------------------------ NIFTY/FMIDITOL/LIB 2 926 GHE00667 97/10/26 15141 375 B MRP116 .LZH 常駐型 MID/RCP player V1.16 ------------------------------------------------------------------------  というわけで、今回はDOS上からのMIDIデータ再生についてご紹介しました。  Windowsの場合は、まずMIDIドライバをインストールしなければならず、前準備が必要ですので、これは次回とさせていただきたいと思います。次回もお楽しみに!!