始めようDTM第5回 MIDIファイルのデータ形式とコンバータのご紹介 九曜 弘次郎 Homepage=http://member.nifty.ne.jp/KUYO/ e-mail:kojiro.kuyo@nifty.ne.jp  みなさんこんにちは。始めようDTM第5回目です。 今回はMIDIファイルのデー タ形式について書きたいと思います。  さて、みなさんが普段よく利用しておられる文書ファイルや、点字ファイルに もいろいろな形式がありますね。文書ファイルでしたら、おなじみのテキストフ ァイル、一太郎やワードなどのワープロファイル、 最近ではWindowsのヘルプフ ァイルやPDFファイルなどさまざまです。 そしてそれらのファイルは、主として ファイル名の拡張子によって分類されますね。 テキストファイルでしたらTXT、 ワードならDOC、 ヘルプファイルならHLPといった感じです。 また一太郎のよう に、同じソフトでもバージョンによってファイル形式が異なり、拡張子も異なる 場合もあります。  これはMIDIの世界でも同じことで、一口にMIDIファイルといっても、そのMIDI データを作成するソフトによって、いくつかの形式が存在しています。今回はそ れらのMIDIファイルにはどういった形式があるのかということと、それらのファ イルの拡張子について紹介していきたいと思います。  まずは主にどのような形式があるのか一覧にしてみましたので、それを見てい きましょう。(以下拡張子、ファイル形式の順に書きます。) ------------------------------------------------------------------------ .MID:SMF(標準MIDIファイル) .MCP:RCM Ver1 .RCP:RCM PC98 Ver2/レコンポーザ98 Ver2.5 .R36:レコンポーザ/98 Ver2.5F、36トラック仕様) .G18:新レコンポーザ形式18トラック仕様(レコンポーザ98 Ver2.5G/3.0、 レコンポーザ/at等) .G36:新レコンポーザ形式36トラック仕様(レコンポーザ98 Ver2.5G/3.0、 レコンポーザ/at、レコンポーザ for Windows95/98等) .SNG:ミュージくん/ミュージ郎/ミュージ郎2/Ballade/Ballade2/Ballade3 ------------------------------------------------------------------------  上記のものが有名なところです。とりあえずこれら有名なものから解説してい きます。  まずは1番最初のSMFですが、 これは文書ファイルで言う標準テキストファイ ルのようなものにあたります。拡張子は主にMIDとなっていますが、STDなどとす ることもあるようです。 SMFとは、「Standard MIDI FILE」のことで、頭文字を くっつけて「SMF」ともいいます。また日本では「標準MIDIファイル」 とも呼ば れています。  この形式は、ほとんどのシーケンサーやMIDIプレイヤー等で読み書きが可能で す。 さらにWindowsに付属のメディアプレイヤーでも再生可能なこともあって、 最近ではMIDIファイルといえば、 このSMFをさすというくらい一般的な形式とな っています。  なおSMFにも、FORMAT0とFORMAT1という二つの形式があります。詳細なことは ここでは書きませんが、シーケンサーによってはFORMAT0のみ読み書きが可能な ものなどもありますので注意が必要です。  つぎにMCP、これはカモン・ミュージックという会社から発売されている「RCM PC98 Ver1」で採用されていた形式です。 最近ではほとんど見掛けない形式とな りましたが、昔のMIDIデータをダウンロードされた場合などには見掛けるかもし れません。  つぎにRCP/R36。これは同じくカモン・ミュージックから発売されている、RCM PC98 Ver2/レコンポーザ98 Ver2.5で使われていた形式です。 比較的最近まで 採用されていた形式ですので、この形式のデータはよく見掛けると思います。な お拡張子がR36のものは、 レコンポーザ98 Ver2.5Fの36トラック版で作られ る形式です。基本的には36トラックだということ以外、RCPと同じです。  つぎに拡張子がG18/G36のもの。これは現在のレコンポーザの形式です。G18は 18トラック版、G36は36トラック版と言うことになります。  それから拡張子がSNGのもの。 これはローランドから発売されているシーケン スソフトに見られる形式です。これも最近ではあまり見掛けないかもしれません が、少し古いMIDIデータではよく用いられていた形式です。  だいたいこのぐらいが有名なところなのですが、あと私が知っている範囲で、 拡張子とデータの形式との対応についての一覧のみ掲載しておきます。 ------------------------------------------------------------------------ .MM2:マイクロミュージシャン2/サウンドパレット/HELLO! MUSIC!98 .MM3:マイクロミュージシャン3 .XWS:XG works .SSW:Singer Song Writer V3/Windows/Audio .SEQ:芸達者 .EVT等:ヤマハESEQ ------------------------------------------------------------------------  このようにあげていけばきりがないくらいたくさんの形式があるわけです。  「何でこんなたくさんの形式があるんだ。標準MIDIファイルなら、標準MIDIフ ァイルと一つに決めておけばいいじゃないか!!」などと思われる方もおいでか もしれません。しかし文書ファイルで考えてみましょう。ワープロソフトでは、 単なる文字情報だけでなく、罫線や文字の大きさといった印刷に関する情報も入 力できます。そのワープロ文書専用の形式で保存すれば、これらの印刷に関する 情報も一緒に保存できますが、これをテキストファイルでセーブすると、文字情 報以外のデータが失われてしまいます。MIDIでも同じように、そのシーケンサー 専用の形式のデータで保存することにより、ソフトの設定などの情報も保存する ことができます。またレコンポーザの場合「永久ループ」といって、曲のある部 分を永久に繰り返す機能などがありますが、 この機能はSMFにはない機能ですの で、専用のデータ形式を設けることによって実現し得た機能といえます。このよ うにSMFではできない機能を付けることも可能なわけです。  しかし専用の形式は、反面他のソフトとの互換性がないという問題も含んでい ます。これは文書ファイルでも同様で、一太郎の形式は基本的に一太郎でしか読 み書きできないのが一般的です。 これを解決するにはどうしたらいいのでしょ う?  そうですね。ファイル形式を変換できるソフトウェア、 要するに 「コンバー タ」と呼ばれるソフトウェアがあれば便利ですね。MIDIの世界でも、このように ファイルの形式を変換してくれる「コンバータ」が混在します。  それではそのコンバータと呼ばれるソフトウェアを紹介します。ほとんどの場 合がフリーソフトとして公開されていますので、パソコン通信などからダウンロ ードして入手することができます。なお今回はNifty serveでのファイルの所在 を紹介します。他のネットに入会されている方ごめんなさい!!ファイル名など を頼りに探してみてください。  こちらも「これだけは用意しておいた方がいいだろう」と思われるものから紹 介していきたいと思います。  それではまず、他の形式からSMFへの変換ツールからいきます。  まずは 「CVS」 です。 これはレコンポーザV1/2の形式、 つまり拡張子が .MCP/RCP/R36の形式を、SMFに変換します。 ------------------------------------------------------------------------ FMIDITOOL/LIB 8  69 PFH00375 95/09/30  55791 9999 B CVS506.LZH RCP/R36-->MID変換 V5.06/DOS ------------------------------------------------------------------------  つぎに「SNG2S」。 これはミュージ郎/ミュージくん/Balladeのデータ、 拡張 子が.SNGのデータをSMFに変換します。 ------------------------------------------------------------------------ FMIDITOOL/LIB 8 31 PDF02614 95/09/30 21660 9001 B SNG2S 3.3 SNG→SMF /v3.3 /DOS ------------------------------------------------------------------------  つぎに「MM2S」。マイクロミュージシャン/Hello!!MUSIC98/芸達者等、拡張子 が.MM2/MMC/SEQのデータをSMFに変換します。 ------------------------------------------------------------------------ FMIDITOOL/LIB 8 30 PDF02614 95/09/30 21286 6456 B MM2S : .MM2/.MMC/.SEQ->SMF /v3.1 /DOS ------------------------------------------------------------------------  さてつぎに、SMFを他のソフトの形式に変換するものを紹介します。  まずは「CVR」。SMFをRCM V1/2、拡張子が.MCP/.RCPの形式に変換します。 ------------------------------------------------------------------------ FMIDITOOOL/LIB 8 4 PFH00375 95/09/30 35764 3522 B CVR345AX.LZH 標準MIDI-->MCP/RCP変換 ------------------------------------------------------------------------  つぎに「MSR」。こちらもさきほどのCVRと似ていますが、 SMFをレコンポーザ V2、拡張子が.RCP/R36に変換します。 ------------------------------------------------------------------------ FMIDITOOL/LIB 8 82 NCD03161 96/02/04 27656 1790 B MSR112.LZH MID->RCP/R36 コンバータ MSR v1.12 ------------------------------------------------------------------------  このCVRとMSRの違いですが、機能面での比較では、CVRはMCP(RCM V1の形式) に対応していますが、R36(レコンポーザ2.5F、36トラック形式) には対応し ていません。一方MSRは、MCPには対応していませんがR36に対応しています。  ちなみに私がCVRとMSR両方を使ってみての感想ですが、 CVRは変換が大変高速 です。しかし時々、変換元のデータによっては、一部のMIDIメッセージが抜けて しまうと言う欠点があります。  MSRはその点、変換精度は信頼できます。反面処理速度が弱冠遅いです。 用途 に応じて使い分けられると良いかと思います。  つぎにそのほかの変換ソフトを紹介します。  「G2R」。RCM V2/レコンポーザV2.5/2.5F、拡張子が.RCP/R36のデータを、 レ コンポーザV2.5G/3.0、 及びレコンポーザ for Windows等、拡張子が.G18/G36の データに変換します。 ------------------------------------------------------------------------ FMIDITOOL/;LIB 8 120 CQF00523 98/10/16 12756 116 B G18/G36 → RCP/R36 コンバータ G2R Ver 1.20 ------------------------------------------------------------------------  さきほどのCVSとこのG2Rを組み合わせれば、 G18/G36の新レコンポーザ形式の データをSMFに変換することが可能になります。  というわけで、他にもたくさんMIDIファイルのコンバータは存在しますが、通 常DTMをやるうえではあまり使用しませんので、 今回はこのぐらいにしておこう と思います。他のコンバータに興味のある方は、NiftyのFMIDITOOLなどにたくさ んありますので、ご覧になってみてください。  というわけで、今回はMIDIデータ形式のお話でした。 MIMPI等のプレイヤーを 使用すれば、パソコン通信上に出回っているほとんどのデータを再生することが できますので、今回ご紹介したことはそれほど重要でないかもしれません。しか し、入手したMIDIデータを特定のシーケンスソフトなどで編集などされたい場合 などにはおやくにたつと思います。  それではまた次回をお楽しみに!!